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美容師独立の失敗例と対策まとめ

美容師独立の失敗例と対策まとめ

独立したい!と考えている美容師さんは多いと思いますが、技術力や丁寧な接客だけでは独立しても上手くいきません。
実際に美容師仲間にも独立して失敗した、という方はいらっしゃるのではないでしょうか?

今回はそんな美容師の独立後の悲惨な実態をご紹介していきます。
独立に不安がある、どうやったら失敗しないだろう…と考えている美容師さんは多いと思います。
ですから、失敗のよくある原因をご紹介します。

実態を知り、余計に不安になったり独立を諦めようと思うかもしれませんが、事前に失敗の原因を把握しておくことで対処することが可能です。また、合わせて失敗しないためにはどうすれば良いのか?もご紹介していきますので、是非最後までお読みください!

 

 

1. 独立の失敗

美容室・サロンは年間で10000店舗が開業している中、8000店舗が廃業していると言われる程、独立が成功するというのはとても難しいものです。その一方で、美容師になり独立したい!と考えている美容師さんは数多くいます。

 


1-1. 美容室独立後の生存率

では実際に独立し開業したあとに、生き残れる美容室・サロンはどれくらいあるのでしょうか?

1年以内に閉店する割合は60%。

この数字には驚きです。どんなに成功が難しいと言っても、半分以上の美容室・サロンが閉店しているのは悲しいですね。
独立には補助金や助成金などを活用することができ、5年は経営できると考えられています。
しかし実際には半分以上ということは、それだけ厳しいということですよね。

3年になると90%。10年以上残れるのは6.3%、20年以上となると0.3%。
3年でほとんどの美容室・サロンが閉店し、20年ともなると1%にも満たない結果となってしまいました。

これだけ多くの美容室・サロンがある今、生き残っていけるのは本当にひと握りということです。

 

2. 失敗する原因

では、なぜこんなにも多くの美容室・サロンの独立が失敗してしまうのでしょうか?失敗の原因を掘り下げていこうと思います。

 


2-1.物件選びに失敗

独立する上で、物件選びは非常に難しいものです。
美容師自身がターゲットとするお客様の層を事前に決めず曖昧なままでいても、良い立地条件の物件に出会える可能性は低くなってしまいます。
自分の美容室・サロンにどんなお客様に来て欲しいのか、またどんな施術をしたいのか、明確にしておくことが大事です。

エリアが決まっても、ターゲット層がそのエリアにいるのか、どのような人が住んでいて働いているのか、これはとても重要な情報になります。そして周辺環境についても調べておく必要があります。

このような情報収集をきちんとしておかないことには、どんなに優れた技術を持っていても、どんなに丁寧な接客をしていても、初めの集客に繋げることが難しくなってしまうのです。

戸建て

また、あまり物件の知識がないまま契約してしまうこともあるようです。

専門的な知識まではいりませんが、必要最低限の知識を持って物件を選ぶ必要があります。
居抜き物件、路面店、など物件選びのポイントをいくつか決めておくと良いでしょう。

家賃が安いから、人通りが多いから、という理由だけで決めてしまっても、ターゲット層が通る場所でなければ意味がありませんし、家賃の安さにもそれなりの理由があります。

良い立地条件であれば必ずお客様は来ます。
そして逆もあります。物件選びを間違えると、独立に失敗するリスクが高まってしまうのです。

 


2-2.人材確保に失敗

人員不足はどの業界でも言われていますが、美容業界も例外ではありません。

人材の確保が出来ずに閉店してしまう美容室・サロンがある程、深刻な事態となっています。
一昔前のカリスマ美容師が話題だった頃に比べ、美容師を志望する若者が減ってきているのも確かです。

しかし、それ以上に美容師は離職率が高いことも一つの原因と言えます。
ですから、今はどこの美容室・サロンでも人材不足に悩まされています。
特に独立したばかりの小規模の美容室・サロンでは、人材確保が著しく難しい状況です。

やはりどの業界でも大手企業に応募が集まるように、小規模で且つオープンしたばかりでまだ名前も知られていないような美容室・サロンには人材は集まりません。

また、人材確保ができたとしても、それで終わりではありません。
スタッフを一人前の美容師にする為に育てていく必要があります。そして離職されないようにすることも重要です。

スタッフの育成は勤めていた美容室・サロンでやってきたから大丈夫!と思っていても、実際にはそうはいきません。
今まで雇われていた状況とは全く違うのです。

美容師としての業務の他に、経営者としての様々な業務があります。
お客様に対応しながら、業務に追われながら、スタッフの育成もしなくてはいけないのです。

小規模の美容室・サロンでは、そのようなスタッフを育成する環境が十分に整えられず、日々の業務に追われ、スタッフとのコミュニケーションを取る余裕もなく、気付けばスタッフは辞めてしまった…ということがよく起きてしまいます。
そしてまた求人広告にお金をかけ…と、まさに負のスパイラルです。

一人で営業するから関係ないと思っていても、たくさんの売上を上げるためには、客数が必要になります。
そのためにはやはり人材を増やし、たくさんのお客様の予約が取れる環境にする必要があるのです。

一人では一時間に一人のお客様しか対応できなくても、他にスタッフがいれば対応できるので、その分売上が増えますからね。

 


2-3.集客力がなく失敗

売上を確保し、美容室・サロンの経営を継続させていくためには、集客力も重要となります。

今まで美容師として雇われていた時にはあまり関わってこなかったとしても、独立すると自分でなんとかしていかなくてはいけません。
技術に自信があっても、インテリアや接客にこだわっていても、集客する力がなければ何の意味もありません。

最初の集客戦略で、チラシを作ったりクーポンサイトへの打ち出し…などを行うと思います。
しかし意外にもお客様は集まりません。そう甘くはないのです。
逆に言えば、それしかしていないから集まらないとも言えます。

美容室・サロンのホームページの作成や、誘導する方法、またオープン前からSNSで呼び込みをするなど…お金をかけなくても出来ることもありますが、なかなか気付けないのです。

勤めていた美容室・サロンの顧客を呼ぶのは基本的にはNGが多いと思います。
しかし事前に連絡先やSNSで通じていれば、来店していただける可能性も高まります。

そういったコツコツとした地道な作業が集客に繋がることもあります。

また、長い目で見て経営戦略を立てなくてはいけませんが、美容師さんは素人です。
とにかくお客様を呼ぼうと、クーポンサイトで大きく割引をしたり、キャンペーン割引をしたり、その時は集客があっても、通常料金になるとお客様は来てくれません。
そうなるとまた、割引をして…これでは客単価も下がり、売上も確保できません。
こうやって集客力がなく売上が確保できず、失敗してしまうことはよくあることなのです。

 

※集客ノウハウに関する情報はこちら(↓)の記事にまとめてあります。
>美容室の集客法10選

 


2-4.資金力、資金ショートで失敗

独立をしようと、貯金を崩したり、補助金や融資を受けたり、なんとか資金を集めようと美容師さんは画策します。
しかしここからが問題なのです。

経営に関して全くの素人であるがために、資金の使い方をわかっていない場合が多いのです。
開業資金として集めたものを、開業前に内装などにつぎ込んでしまう。
実際にオープンしてからの営業資金のことが頭に入っていないのです。

また、オープンすればお客様が来てくれるから大丈夫と甘い考えの美容師さんもいます。

しかしどうでしょうか。お客様は考えていた程集まりません。
なんとかしようと、また広告費を使います。
なんとか来てくれても安売りしたことで客単価が低く、意外に売上が上がりません。

しかし月末になると支払いをしなくてはいけません。
家賃や機材のリース代などの固定費、水道光熱費や材料費などの変動費、融資を受けた場合には返済、人を雇っていたら人件費…自分に給料を払う余裕はなく、無給で働く…

これでは一年以内に閉店してしまっても不思議ではありません。

 


2-5.経営力がなく失敗

今まで書いてきたように、経営に関して美容師さんは素人です。
資金の使い方から、集客に至るまで、今までやってきた美容師としての仕事とは関係がないのですから、仕方ありません。

多いのは自分の感覚だけで全て決めてしまうこと。

独立し開業するということは、全てを自分で決めなくてはいけません。
物件選びも、集客戦略も、内装や備品など細かいものまで全て自分で決めます。
これは誰にとっても大変な作業です。
ましてや全く経験のない美容師さんがやるとなると、目が回るような忙しさです。

そんな中で重要なことを決めなくてはいけない段階で、これでいいや…と妥協したり、自分のなんとなくの感覚だけで決めてしまうこともよくあります。
それが後々独立失敗に繋がる可能性がある程、重要だとしても気付けないのです。

事前に事業計画を綿密に立てておく必要がありますが、それも感覚でしかなく、少し壁にぶつかると壊れてしまうような計画…。これでは経営とは言えません。

また、最初から利益が出る計算しかしていないことが多いです。
ですが実際にオープンしてみると、思うように集客はなく、一向に売上は伸びません。
最初は広告などの集客戦略にお金がかかるということを見過ごし、開業前に資金を使い込んで、お金をかけられないなんてこともあります。

最初の一年は赤字と踏まえて、事業計画を立て、資金の使い方を考えなくてはいけません。
長い目で見て計画を立てなければいけないのです。

こういった経営力の無さが失敗に繋がる大きな要因となっています。

 

3. 独立が失敗しないためには?

ここまで美容師の独立が失敗する原因を書いてきました。確かに美容師は経営に関して素人ですし、どうにも出来ないのでしょうか?
ここからは失敗しないためにどうすべきか、を書いていきます。

 


3-1.初期投資を抑える

経営に関して素人ですから、出来るだけ失敗のリスクがないようにしなくてはいけません。
その為には小さい美容室・サロンを開業し、初期投資を抑える必要があります。
そこで経営の基盤を作り、だんだんと大きくしたり、2店舗目を作るという風に持っていけば良いのです。

やはりどうしても、今まで夢に見ていた独立です。
全部にこだわって自分の好きなお店を作ろう!とします。
しかし、そこで資金を使い過ぎて再起不能になってしまうのです。

誰でも最初は失敗の連続です。
しかし立て直す力があるかが重要なのです。
失敗が続いても立て直すことができ、失敗を成功に変えるチャンスを得ることができます。
その為に初期投資は最小限に抑え、失敗しても立て直せる資金力を持っていなくてはいけないのです。

 


3-2.業務提携やフランチャイズを選ぶ

今まで書いてきた独立は、一般的なオリジナルサロンについてでしたが、独立にはいくつか種類があるのをご存知でしょうか?

暖簾分け、フランチャイズ、業務提携(パートナーシップサロン)があります。
これらは全て他者と契約し開業する独立方法です。

暖簾分けとフランチャイズは、美容室・サロンのブランドイメージや運営や経営のノウハウを使用できる代わりに、毎月ロイヤリティという使用料を支払います。
オリジナルサロンとは違い、自分の好きなように一から美容室・サロンを作ることはできませんが、ブランド名である程度の集客が見込めることと、経営のノウハウがわかるため、経営初心者の美容師にとっては失敗のリスクを抑えることができます。

暖簾分けでは独立支援制度があったり、チェーン展開している有名な美容室・サロンであれば資金の援助がある場合ももちろんあります。
しかしオリジナルサロン同様またはそれ以上に初期費用がかかる場合もあったり、毎月ロイヤリティを支払うことを頭に入れておかなければなりません。

業務提携(パートナーシップサロン)は、資金調達と運営のサポートをしてくれるパートナーと契約します。
基本的には運営は美容師が行いますが、困った時にサポートしてもらえたり、資金力がない美容師にとってはメリットと言えます。

また、初期費用に借金をする美容師さんがほとんどだと思いますが、この場合失敗しても半減できるという部分もあります。
これはみなさんあまり考えたくないことだと思いますが…。

 

どれも他者との契約のため、トラブルが起きないよう注意する必要があります。
しかし、独立の失敗のリスクを抑えるといった意味では有効的だと言えます。

 


3-3.税理士など専門家に相談する

今まで書いてきたように、美容師は経営に関して素人です。
自分の感覚に頼って良い部分もあれば、そうでない部分もあるのは確かです。

ですから、税理士などの専門家を雇うことをおすすめします。
やはりどの業界でも、初めての経営は難航します。

税理士は、経費や給与、保険や税金などの計算を行ってくれることで、集客や運営の時間を作ることも出来ます。
また、お金の面で専門的なアドバイスをもらうことで、経営が初心者の美容師でも経営していくことが可能になるのです。

税理士でなくても、経営に関して信頼できるところであれば相談するのも良いでしょう。
実際独立した美容師さんは、経営について相談する相手がいないことで、一人で全て抱え込み、どうすることもなくなってしまうケースはよくあり、実際にそうやって閉店することも多いです。

 

4. 独立が成功している美容師はどんな人?

ではどういった美容師が独立に成功しているのでしょうか?
絶対にこうだ!と言い切れることではないですが、こういう人が多いということ書きますので参考にしてみてください。

 


4-1.仕事が好き

やはりどんな業種でも職種でも、成功している人は仕事が好きな人が多いです。
たくさんのことを勉強し、努力を惜しみません。そしてそれが苦にならないのです。

大きな成功をした人で、よく遊んでいるように仕事をしているなんてことを聞きますよね。
実際にやっていることは遊びではありませんが、仕事を楽しんでやっているのです。

もちろん美容師としての仕事が好きで、みなさんやっているとは思いますが、経営の仕事も好きになり楽しんでやれる人は独立に成功しています。
経営者としての仕事を好きになり、努力を惜しまず勉強する。そしてそれを楽しむことができる。

簡単そうに見えてなかなか出来ることではありません。しかし全て勉強だと思って取り組むことが大切です。

 


4-2.数字に強い

やはり経営者として数字に強い人は成功しています。
物事を感覚だけではなく、数字で考えることができます。

例えば、独立に成功して儲けたい!ではなく、独立に成功し利益1000万円を目指す。では違いますよね。
これはとても単純な例ですが、こういった考え方ができ、現状を数字で把握し、目標数値を立て、経営戦略を立てる。

 

このように、なんとなくの感覚ではなく、数字で物事を考えられるということが独立する上で必要になります。

 


4-3.チーム意識が強い

これもどんな会社でもそうですが、従業員を大切にしている会社は成功しています。

美容室・サロンは特に一つのお店の中で一緒に働いているわけです。
チームとしての結束力が必要になりますが、リーダーである経営者がその考えを持っていなければ、従業員にその意識は持てないでしょう。

美容室・サロンが良いお店になるには、経営者一人の力だけでなく、一緒に働いてくれている従業員の力が必要だ、ということを独立に成功した美容師は理解しています。

 


4-4.お客様第一

独立に成功している美容師は、お客様第一の考えを持っています。
お客様にどうやったら喜んでもらえるのか、日々追求し、様々なことをお客様目線で考えことができます。

やはりそういった心は、他の従業員にも浸透し、お店全体でお客様第一の考えを持つことができます。
何のための仕事なのか?をお客様のためだと考えることができるのです。
そうなることで、自然とお客様に選ばれる美容室・サロンになるのです。

 


4-5.新しいことに挑戦する勇気がある

常に人と違うことを考え、実行している美容師は独立に成功しています。
誰もやっていない新しいことにチャレンジし、成功を収めているのです。

新しいことをやるのはとても勇気がいりますし、どうしても保身に走ってしまいがちですが、新しいことだから挑戦する意味があり成功するチャンスがあると考えることができるのです。

 

いかがでしたか?

今回美容師の独立に関して、厳しいことを書いたので独立したいと思っている美容師さんには受け入れがたいこともあったかもしれません。
しかし、失敗する原因を事前に知っておくことで防げる可能性は大いにあります!そして今のうちから、人脈を広げ、経営に関しての勉強をしておくことも大事です。

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