収入が低いというイメージがついている美容師ですが、実際にはどうなのでしょうか?
今回の記事では、平均収入と様々な条件別でご紹介します!
アシスタントやスタイリストの方はご自分の収入と比べてどうなのか?
経営者の方は一般的な給与額についての参考にしてみてください!
また、その上でどうやって収入を上げていけば良いのかも合わせてご紹介していきますので、是非ご一読下さい!
1. 収入が低いと言われている美容師の平均的な収入は?
2. 職位別収入
3. 条件別比較
4. 企業規模別比較
5. 給与システム
6. 人気があるとどれくらいもらえるの?
7. 収入を上げるにはどうすればいい?
1. 収入が低いと言われている美容師の平均的な収入は?
2018年2月に発表された、賃金構造基本統計調査をご紹介します。
これは、美容師だけでなく理容師も合わせた数字になっています。
平均月収:約23万円
平均賞与:約5万円
この収入額は3年連続で上がっています。
しかし、職種全体で見ると、129の職種のうち119位と決して高い収入ではありません。
国家資格保有の職業ということを考えると、この金額は考えものです。
また、国家資格保有の職業の中で、収入は最下位となっています。
2. 職位別収入
経験や職位など収入を決める上での判断基準があります。
様々な職位を設けている美容室・サロンもあると思いますが、ここでは一般的な職位でご紹介していきます。
2-1.アシスタント
美容師は美容室・サロンに入社して、まずアシスタントから始まりますよね。
雑務やシャンプーなど、スタイリストをアシストする仕事をしながら、先輩に美容師としての仕事を教わり、一人前になれるよう勉強します。
月収で約13万円~18万円が平均的な金額です。
この金額は地域によっても異なるようで、低いのは意外にも東京の有名店。スタート時が約10万円ということもあるようです。この金額でも働きたいと思う人が多いのだと思われます。
地方だと初任給は約16万円と言われています。
まだお客様に施術できないため、固定給のみです。
しかし、シャンプーを担当した際などに商品やトリートメントを勧めたりして、歩合給が入ることもあるようです。
中には高いコミュニケーション能力でお客様をつかみ、先輩スタイリストよりも商品を売り上げるアシスタントもいるそう!これはすごいですね。
2-2.ジュニアスタイリスト
ジュニアスタイリストは、スタイリストデビューしたばかりのスタイリストで、カットも任せてもらえるようになります。
歩合給もつくようになり、平均月収約16万円~21万円です。
2-3.スタイリスト
お客様がつくようになりますから、歩合給がもらえるようになります。
平均で20万円~30万円前後。
指名のお客様や毎月の売上金額によって歩合給が変わるので、同期入社でも同じ額がもらえるということではありません。
また収入の一つの目安として、年齢と同じ額の月収があれば良いとされているようです。
2-4.トップスタイリスト
スタイリストの中でも実力があり、お客様からの指名も多く人気で売上も高ければ、トップスタイリストになれます。
トップスタイリストになれれば、月収50万円以上も目指せます。
中には年収1000万円超えの人もいるようですが、これはごく一部で最大で800万円前後のようです。
2-5.オーナー・経営者
独立し開業して自分のお店を持ちたい!と考えるようになると思いますが、このオーナー・経営者で成功すればより高い収入が見込めます。
何店舗も経営している人であれば、年収2000万円以上になることも。しかしこれは一握りで、美容室経営者の一割程度と言われています。
3. 条件別比較
ここからは条件別に比較してごいきたいと思います。
3-1.年齢別収入
経験や能力によって収入が変わってくる美容師ですが、年齢が上がればその分経験値も上がります。年齢によってどれくらい変動するのでしょうか?
30代平均年収:約250万円~350万円前後
40代平均年収:約350万円~450万円前後
以上の数字はおおよその推定です。
年齢が上がるにつれ収入も上がっていますね。
職位の変動や役職がついたり、中には独立し経営者やオーナーになったりする美容師もいるからでしょう。
しかし美容師には「40歳定年説」という言葉があり、40代をピークに収入が上がらず収入が下がっていくようです。
これには美容師の仕事が体力勝負であり、また流行に大きく左右される職種でもあることから、流行に敏感な若い美容師の方が良いというお客様の考えもあるようです。
ですから、現場で活躍できるうちに、美容室・サロンで役職につけるように頑張るのか、独立するのかなど、今後どうしていくのか考えていかなくてはいけないと言われています。
3-2.男女別収入
次に男女差で収入の違いを見ていきます。
平成29年度賃金構造基本統計調査によると、
男性 | 女性 | |
平均年収 | 約317万円 | 約284万円 |
平均月収 | 約25万円 | 約23万円 |
年間賞与等 | 約6万円 | 約5万円 |
平均年齢 | 30.9歳 | 31.4歳 |
という結果が出ています。
女性の方が男性に比べると収入は低い傾向にあるようです。
では年齢も合わせるとどれくらいの差があるのでしょうか?
年代別 | 男性 | 女性 |
20代平均年収 | 約211万円 | 約205万円 |
30代平均年収 | 約310万円 | 約265万円 |
40代平均年収 | 約342万円 | 約260万円 |
50代平均年収 | 約322万円 | 約259万円 |
女性も男性も年齢と共に年収は上がっていっていますが、男性の場合は50代から、女性の場合は40代から下がっています。
女性の場合は、結婚や出産・育児などで現場を離れてしまうこともありますよね。その間にお客様が離れてしまうことや、フルタイムで働くことが難しくなり、パートとして働くことを選択することもあるからでしょう。
しかし男性の場合は年齢と共に収入は上がり、50代頃でピークと一般的に言われます。
上記で述べたように、他の職業と比べ収入も低く、美容師はピークが40代ですから、とても厳しい職業と言えます。
3-3.地域別比較
では、地域で差はあるのでしょうか?
東京など関東圏の都市部は平均25万円スタート。
大阪や京都など関西圏では22万円スタート。
福岡になると20万円スタートと、地域による差はあるようです。
これはスタイリストの月収です。
差がある理由は一概には言えませんが、東京で働く方が稼げるからと上京してみても、実際には家賃や生活費で毎月カツカツという美容師も少なくないですよね。
また、都市部の人口が多い場所では競争も激しく、人口が多い分美意識の高い人も多くなります。
地方にはない刺激がある反面、毎日の洋服代や交際費などが高くつくケースも多いようです。
4. 企業規模別比較
では、企業規模やサロン形態によっても差はあるのでしょうか?
4-1.企業規模
企業規模はわかりやすく従業員の人数別で見ていきます。
また、超過労働時間も合わせて見ていきたいと思います。
平均年収 | 平均賞与 | 平均超過労働時間 | |
10~99人 | 約256万円 | 約56万円 | 約2時間 |
100~999人 | 約266万円 | 約54万円 | 約9時間 |
1000人以上 | 約264万円 | 約95万円 | 約20時間 |
収入だけで見ると、大きい企業の方がより年収が高いようです。
しかし、超過労働時間も長くなっています。
収入が増える分、仕事量も増えるのかもしれませんが、ワークライフバランスを考えると一概に大企業が良いとは言えないようです。
しかし小規模の美容室・サロンほど、労働環境がグレーと言われるような環境にあります。
数字だけで比べても、実際の労働環境が良いとは言えないのが実情です。
4-2.サロン形態別
最近は美容室・サロンも様々な形態をとっています。
今回は1000円カットと比べてみます。
一般的な美容室・サロンと違うのでしょうか?
残念ながらきちんとしたデータは出ていませんが、求人情報で1000円カットのお店の募集を見てみると、月収25万円~とあり高い傾向にあるようです。
30万円以上の方もいるそうです。
これは、回転率の良さと、カットのみのため設備や経費にお金が掛からないといった理由があります。
長時間の労働もなく休みもきちんと取れ、収入も高く安定しているという理由から、1000円カットへ転職する美容師も増えてきているようです。
しかし、カットのみの施術でカット以外の技術の向上や、スキルを活かすことができなかったり、回転率よりも丁寧にお客様と向き合い施術したい!と考える美容師さんも多いと思います。
また歩合給もないので、収入を上げたいと考えるのであれば、一般的な美容室・サロンでお客様からたくさん指名を取れるようになることも一つの手だと言えます。
4-3.美容室・サロンの料金別
では、施術料金によっても収入の違いは出てくるのでしょうか?
残念ながらこちらもきちんとしたデータは出ていませんが、やはり施術料金の高い方が収入も高い傾向にあるようです。
それは歩合給がつく仕組みだからのようです。
売上の数%が入る仕組みになっていますよね。
そのため、施術料金が高いほど入ってくる金額も高くなります。
5. 給与システム
ここまでで平均的な収入はわかったと思いますが、そもそも給与システムはどのようになっているのかご存知ですか?
ここでは給与システムから、保険や雇用形態まで詳しくご紹介したいと思います!
5-1.固定給
多くの美容室・サロンが取り入れているのは、固定給+歩合給の給与システムです。
入社したばかりのアシスタントはお客様につくことができない為、固定給のみとなります。
他の職種と比べて平均収入が低いのは美容師の皆さんはよくご存知だと思います が、歩合給があるからでしょう。
上記で紹介した平均は固定給ですが、これは職位が上がるほど高くなるのが一般的です。
しかし固定給が低くなった、というケースもあるそう。これは歩合給がつくようになるから下げる、ということだと考えられます。
5-2.歩合制
これは給与が決まった額ではなく、売上に応じて支給されることです。
施術したお客様の売上金額の数%の金額が入ります。
例えば150万円の売上の場合、歩合率10%で15万円がプラスされます。
10%が20%になるなど、歩合率によって入ってくる金額が違いますから、同じ金額を売り上げても歩合率の違いで収入に差が出ます。
相場は10%~30%と言われています。
しかし実際に30%は少なく、10%以下も多いようです。
しかしこのシステムも、売上が100万円以上にならないとつかないこともあるようです。
100万円~150万円だと10%で、150万円以上では20%など、売上総額で変動するシステムを取り入れている美容室・サロンも多いようです。
また、指名のお客様だと歩合率が変わることも多いですよね。
こちらのシステムも美容室・サロンによって様々ですが、指名ではないお客様よりも指名のお客様の歩合率の方が高く、売上の20%~30%程度となっています。
ですので、スタイリストデビューしても、指名客を獲得するために、練習や勉強は欠かせません。
5-3.完全歩合制
お客様から人気のあるトップスタイリストなどは、完全歩合制を採用している場合もあります。
これは歩合給のみの支給となります。
その為、場合率は高く設定されていますが、毎月安定した売上がないと厳しいと言えます。
また、最近では業務委託という形態が急増しています。
ここでは美容師を従業員として雇用するのではなく、個人事業主として扱う形になります。
雇用ではない為、こちらも完全歩合制になります。
歩合率の平均は、固定給がないため50%と言われています。
平均収入は月収で25万円~と言われており、中には月収で50万円~100万円稼ぐこともあるようです。
多くの収入を目指せますが、一方で安定した収入がないため、不安な要素も多々あるのも事実です。
例えば風邪などの大きな病気でなくても、出勤しなければ収入はありません。
また、出勤しても売上がなければ収入はないのですから、集客や売上に自信がある美容師でないと難しいと言えます。
5-4.ボーナス
美容師のボーナスの平均額は約5万円。
一般的にボーナスは年に2回、基本給の1ヶ月分から2.5ヶ月分程度と言われていますので、少ないですよね。
しかし、必ずボーナスを支給しなければならないという決まりもない為、ボーナスが支給されない美容室・サロンも多くあります。
こちらの方が多いのではないでしょうか。
もちろん年に2回きちんと支給されるお店もあるでしょうが、平均額を見るとあまり期待はできません。
5-5.手当
では給与の他に、手当はつくのでしょうか?
これも違いがありますが、「資格手当」や「指名手当」、売上目標を達成するとつくものもあるようです。
やはり美容室・サロンでは、一人ひとりのモチベーションを上げ、技術や売上を上げたいと思えるような手当が採用されています。
また「役職手当」を設けていることも多いですよね。
この「役職手当」は店長やマネージャーにつくことが多いですが、中にはスタイリストでつくケースもあるようです。
手当の金額や内容は違いますが、上記で出た平均収入は手当も含まれていますから、期待できる金額とも言えません。
しかし、全員がなれるわけではないので平均収入にはあまり影響がないですが、役職がつくことで収入が大きく変わることも多いですから、役職者を目指す美容師さんも多いです。
5-6.雇用形態
正社員が一般的ですが、美容学校に通っている方や、子育てをしながら、などパート・アルバイトの方もいますよね。
中には派遣社員や契約社員として働くケースもあります。
アルバイトやパートに比べると安定した収入が得られますが、自分の働きたいサロンではなかったり、契約期間で打ち切りなどのリスクもあります。
また、フリーランスという働き方もあります。
これは美容室・サロンに入社するのではなく、個人事業主として働くことです。
業務委託の他にも、面貸しがあります。
これは一席を借りて営業し、場所代を美容室・サロンに払うという仕組みになっています。
業務委託とは違い、場所代だけを払い、残りの売上は経費を引いた額が収入となります。
施術メニューや料金など自由に決めることができるので、自信があれば高い料金設定にすることも出来、収入を上げることが可能です。
しかし、自分で集客を行うことになります。ですから集客がなければ収入もなく、場所代で赤字になることも考えられます。
技術力だけでなく、集客できるか、など実力に合った働き方を選択することで、今より良い収入になる可能性もあります。
5-7.福利厚生
では、福利厚生はどうなっているのでしょうか?
代表的な福利厚生とは、会社による社会保険料の負担です。
健康保険や厚生年金、労災保険などがあります。
残念ながら、まだまだ福利厚生の充実している美容室・サロンは少ない傾向にあります。
健康保険や厚生年金などに加入している美容室・サロンはまだまだ少ないのが現状ですが、「東京美容国民健康保険組合」という美容業界の健康保険があり、加入していることも多いようです。
また、雇用保険や労災保険などの労働保険には加入しているという美容室・サロンは多いようです。
他にも、アシスタントにだけ、住宅手当や家賃補助費などが支給される場合もあります。
また、健康診断や交通費の支給、独立支援制度など、美容室・サロンによって違いますが、福利厚生が全くないといったわけではないようです。
女性が多い職種ということもあり、最近では産休や育休が取れる美容室・サロンも増えているようです。
6. 人気があるとどれくらいもらえるの?
平均的な収入と、給与の仕組みをご紹介し、美容師の収入の厳しさを実感している方も多いと思います。
しかし、人気と実力次第では収入を上げることができるのも事実です。
では、人気も実力もあるとどれくらいの収入があるのでしょうか?
テレビや雑誌などのメディアに出演したりと、人気も知名度も高い美容師をカリスマ美容師と呼び、一昔前話題になりました。
今でもそういった美容師さんはいますよね。
中には憧れている方もいるのではないでしょうか。
収入の公開はされていませんが、あるカリスマ美容師は年収が軽く1000万円を超えると話していました。
カリスマ美容師で経営者という場合、年収3000万円とも言われています。
これは夢が広がる話ですが、数多くいる美容師の中のほんのひと握りというのが現実です。
7. 収入を上げるにはどうすればいい?
では、今よりも収入を上げる方法はないのでしょうか?
7-1.役職や職位を上げる!
一般的には役職者や、トップスタイリストを目指す美容師さんが多いと思います。
役職がつけば、役職手当がつきます。
店長やマネージャーなどの役職で年収は約600万円と言われています。
平均年収の倍以上の収入が見込めますから、目指す方も多いと思います。
また、収入の面だけでなく、店舗のマネジメントに携わりご自分のスキルアップややりがいも大いにあると言えます。
しかし、店長は店舗につき一人です。スタッフが多い店舗では競争率も高くなります。
店長になるためには、スタッフをまとめられるリーダーシップなどが必要になってきます。
ですので、目の前のお客様はもちろん、スタッフの育成も積極的に行い、店舗をあらゆる角度から見れる力を持つことが大事です。
トップスタイリストは、まず技術と接客力を磨くことが必要です。
美容室・サロンによっては試験が設けられていることもあると思います。
ですから日々の勉強はとても重要となります。
しかし、実際にそれだけでは指名のお客様が増えるというわけでもありません。
指名のお客様を増やすための接客力を身に付けることも必要です。
人気が出てくれば、カリスマ美容師のように年収1000万円に届くことも!
7-2.独立やフリーランスを選ぶ!
また、独立して自分のお店を持ちたい!と考えている方も多いでしょう。
最近では上記で挙げたように、収入を上げるためにフリーランスとして業務委託や面貸しを選択することも多いようです。
中には年収1000万円を超えることもあるようで、今働いている美容室・サロンでは役職が見込めなかったり、集客に自信がある美容師さんは選択肢として考えてもいいかもしれません。
また、独立しオーナーになり経営が上手くいけば、年収が2000万円を超えることもあります。
大きく分けて3つの独立方法があります。
オリジナルサロン
どの美容師さんも一番に考えるのがこのオリジナルサロンだと思います。
開業資金や準備が大変ではありますが、ご自分の理想の美容室・サロンを作ることができます。
暖簾分け・フランチャイズ
今まで働いてきた美容室・サロンと契約し、ノウハウやブランドを使用することができるのが暖簾分けです。
独立支援制度がある美容室・サロンもあり、独立資金を安く抑えることもできます。
チェーン展開している美容室・サロンなどとフランチャイズ契約をして開業する方法もあります。経営や営業などの指導が受けられ、大手であれば集客も見込めるメリットもあります。
どちらも毎月ロイヤリティを支払うことや、全て自分の思うようにできないといった面もあります。
パートナーシップサロン
こちらはまだ少ないようですが、店舗の運営や管理と、初期費用の負担と店舗運営のサポートとで、役割を分担します。
リスクの分担ができるメリットがありますが、きちんとした契約をしておかないと開業者とパートナー間でのトラブルが発生するリスクもあります。
いかがでしたか?
今回は美容師の平均的な収入から、給与システムまでを細かくご紹介し、それを踏まえた上で、収入の少ないと言われる美容師の収入の上げ方をご紹介しました!
収入を上げる方法は様々ありますが、メリットやデメリットを理解しご自分に合った方法を選択してくださいね。